クラッチバッグじゃ入らないでしょ

ブスは生きづらい。何も悪いことなんてしてないのに、ツインテールはしちゃいけないし、可愛いワンピースは着ちゃいけない。ブスは調子に乗ってはいけないのだ。お化粧をサボればブスのくせに努力もしないと罵られるけど、ちょっと頑張ってもブスは所詮ブスだよね、なんて鼻で笑われて終わり。初めて集合写真を見て周りとの差に落ち込んだのはいつだっただろう。そういう意味では幼いころから周りとの差を意識せざるを得ないのだ。

ある曲の歌詞が女性差別だなんて言われているけど、少なくとも今の日本社会ではこれは事実だよ。特に大きくなればなるほど、「容姿についてからかうのはいけないこと」という認識はどんどん薄れていくのか、周りの態度は露骨になっていく。大学のサークル勧誘なんかいい例で、私と一緒に歩いた美人の友達は、人混みを抜けたころには私の倍近くチラシを持たされていた。常に誰かの引き立て役で、「○○の友達なんだ、あの子かわいいよねぇ」と言われたら笑顔で「本当にかわいいですよねぇ、私が男だったら彼女にしたいです〜」と心の中の女を殺して答えるのが当たり前。誰に言われるともなく、華奢で可愛らしい子が重たい荷物を持っていたら私が代わった方がいいかなと思うようになったし、そうすることでなんとか邪魔なブスにならないように、いると便利なブスくらいで世界に出演させてもらえるように、舞台の端っこで居場所を探していた。

でも、よかったことは何もないかと言われればそうではない。もちろん、美人に生まれた方が圧倒的にいいことは多いと思うけど。

手伝ってくれる人がいなくても、そのうち自分でできるようになるよ。それでもできなかったら、どういう人にどうやって助けを求めればいいのかわかってくるよ。ハイヒールにワンピースが似合わないなら、スニーカーにジーンズでいいし、むしろその方が歩ける道は、ドレスコードのあるレストランより多いかもしれない。頭空っぽじゃ生きていけないからっていろいろ頭につめこんでみたら、たまたま面白いこともたくさん知って、顔はそのままでも頭は昔と大きく変わった。

悲しいかな、何を言っても容姿次第でブスの僻み、と片付けられてしまうけど、それはそれでいいんじゃない。誰も真面目に聞いてくれないのなら、好き勝手言ってもいいでしょう、ということで、以上、ブスの僻みでした。