パンジーなんて好きじゃないのに

テストでクラス上位の5人だけは名前を呼ばれるから、いい点を取れるように勉強を頑張る、みたいなところが未だに抜けなくて、本当はもう誰かの評価に頼っていい時期を過ぎているのは分かっているんだけど、そうやって明るいところで褒めてもらわないともう何も分からないところまで来てしまった。暗いところで悪口言っててもいいから、一生懸命作りあげた小さなお花畑に入ってきて、見えるところでお花を潰さないでほしいんです。なんていったらゆとりとか言われるんだろうけど、多分時代のせいではないです。

自分はダメダメだってわかっているけど、それを他人に指摘されるのはすごく嫌で、でも嫌だと感じていることがバレるのはもっともっと嫌だから、指摘されても「あはは私本当にダメなんですよ〜」とヘラヘラして、自分でもわかっているからわざわざ指摘してくださらなくて結構です、みたいな態度をとりがち。そして一人になってからあまりのみっともなさに落ち込みがち。

自分で穴だらけの畑を耕すのってすごく大変。ちょっと掘り返せば虫だらけだし、土の性質が場所によって異なるから、それぞれ違った方法をとらなきゃいけない。関係ない隣の畑の人が邪魔してくることだってある。ところが、私が耕して、種を植えて、水をやって...としなくても、咲いているお花の苗を植えてくれる人もいるんですよ。しかもちょっと難しい言葉を知っていたり、ちょっと丁寧に字を書いたり、ちょっと周りに気を遣ったり、たったそんなようなことで、綺麗なお花を植えてくれる。本当は、植えてくれた所にまだ虫がいるのも知ってるけど、とりあえず見た目が綺麗だから気にしなかった。いつか枯れてしまうとしても、毎日毎日穴だらけの畑をちまちま世話するよりましだと思ったから。

新しい苗をもらうための努力を惜しまない私は偉い、頑張ってる、と思い込んできたけど、気が付いたら苗をもらうのが目的になってしまって、誰のための畑なのか、もはや分からなくなってしまった。地下ではきっと、今も虫が苗の根っこを食べ進めてる。ずーっと駆除をサボっていたから、今頃手に負えないくらい大きくなっただろうし、もし目があったら、手が震えて何もできないだろうな。

それでも、今咲いているお花を引っこ抜いて、一から土を耕すなんて絶対無理。だってあんなに苦労してこんなにたくさんお花をもらったのに、それを引き抜くってことは、そのためにかけた労力や時間も全部否定することになるから。だから、私は今日もなんだかよそよそしい自分のお花畑を見て満足しようとするし、幾つかの花が枯れてもいいように、いろんな人ににこにこして苗をもらう。