愛がなんだ?

一年以上放置していたブログをなぜ書こうと思ったかというと、愛がなんだを観たからです。

しんどい映画なのは知っていたし、しんどくなるのも分かっていたので、一人で観に行きました。その選択は正解だったけど、感想は感想で言いたくなるもので。

四人の主な登場人物のうち、誰に共感したか、という質問はとても難しい。少なくとも私は、全員のいいところとわるいところをちょっとずつ持っている。

テルコを愚かな女だと馬鹿にすることもできないし、
マモちゃんをクズ男だと一蹴することもできないし、
葉子ちゃんを最低な女だと糾弾することもできないし、
ナカハラを意気地なしと決めつけることもできない。(劇中のテルコがそうしたように)

一人の人間の中に、テルコと葉子は併存しうると思うのです。
だって、私の中にも二人ともいるもん。夢を見る合間に現実をみたり、現実を見る合間に夢をみたり、人に振り回されたり、人を振り回したり、ねぇ、みんなもそうでしょう。

対等な関係って、こと恋愛においてはとても難しい。
好きになりました、付き合ってください、で始まる中学生とかならいざ知らず、
大人になると仕事も金銭も価値観も過去も将来も、いろんなゴタゴタが絡んだうえでの"付き合う"だから、そもそもスタートが並列じゃないことの方が多いと思う。

今回、テルコとナカハラ(と、対すみれにおけるマモちゃん)は、「弱者側」だった訳だけど、毎回そうとは限らない。テルコのことが大好きな男の子が現れて、二人が付き合うことになった場合、今度はテルコが「強者側」になるだろう。
だって、テルコにとってはマモちゃん以外はどうでもいいことなのだから。
どうでもいい相手に対して誠意を持って大切にするなんて、普通の人間にはできない。
そうだよね?マモちゃん、葉子ちゃん、スミレさん。

観ているときもしんどかったけど、こうやって振り返っているとますますしんどくなる。なのに、もう一回観たいと思ってしまうほど、魅力的な映画でした。幸せになりたいっすね。

 

余談ですが、私は恋愛物語の中で描かれる女同士の友情がとても好きで、この映画はそこがオアシス的に?丁寧に描かれていたのが素晴らしかった。
葉子ちゃんからもスミレさんからも、テルコが大切にされているの、わかるなぁと思ったし、テルコがスミレさんのことを憎めないのもわかるなぁと思った。
いるよなぁこういう人、と全ての登場人物に対して思えるの、すごいよね。あーやっぱりもう一回観に行こうかなぁ。