癒し系の正体は?

凪のお暇第3話、ネットでも話題になったシーンはいくつかありますが、個人的には婚活パーティーのシーンが印象深かったです。凪チャンはあんなに引きつった笑顔で困ったな〜というオーラ全開なのに、男性陣からは大人気。Tシャツにジーパンという出で立ち+無職のステータスでああなるだろうか?という疑問はさておき、凪チャンにとっては非道く居心地の悪かった空間が、相手にとっては居心地よく、癒されるものだった…という状況は、おそらく彼女にとっては珍しくないのだと思います。

「癒し系」や「いじられキャラ」とカテゴライズされる人は、同じような経験を持つ人が多いのではないでしょうか。ちょっとキツいことを言ったら「そんなこと言う人だと思わなかった」なんて勝手にがっかりされて、よく分からないけれど自分も落ち込んでしまうとか。

癒し系とされるには、「優しい」「のんびりしている」「穏やかである」「人を和ませる」などの癒し要素が必要とされる。これらの要素は、本人の雰囲気に自然に含まれていることが重要で、作為的に形作ったことが露骨に出ている・キャラクターとして演じている事が明白である場合は、癒し系ではなく単なる「ぶりっ子」とみなされる。(出典:Wikipedia

そもそも癒し系ってなんなんだろう、と思って、ググってみたら定義としては上記の通りのようです。元彼の前でお酒が飲めないフリを演じるような凪チャンは完全にぶりっ子なのに、関係の浅い人にも深い人にも癒し系と思われていて、その「癒し系の大島凪像」に苦しめられていた(る)というのは皮肉です。

空気を読もうと思ってもその場における最適解が分からず、とりあえず謙虚で相手を否定しないリアクションを取り続ける凪チャンは「癒し系」で、空気を読んで相手が言ってほしそうなことを言える慎二は「ムードメーカー」。どちらの言葉もすごくポジティブな意味で使われるのに、両者共に対人コミュニケーションに自信がなかったり不満を抱えていたりするのは、他者の都合のいいように振る舞っている自覚があるからなのでしょう。関係性を崩さない程度に自分らしく振る舞うって、相当難しいですよね。最終回までに、二人は自分なりのベストバランスを見つけるのでしょうか。

あ、でも慎二の前で下戸を装っていたというエピソードは、正直「凪チャンそんな器用なことできたんだ」と思ってしまいました。(失礼ですみません)だってこれって割と慎二寄りのスキルというか、「あぁこの人はお酒があまり飲めない彼女の分まで飲んでやる俺になりたいんだ」と察して演技ができるってすごく器用なことなので。それを小癪な女と自嘲的に言ってしまうところに胸がグッとなりました。そこであんな優しいこと言われたら、ゴンさんのこと好きになっちゃうよねぇ…

余談ですが、元同僚の足立さん、婚活パーティーで知らない人が困っているところに割って入り助けてあげるなんてすごくいい人だし、再会した時に失礼な発言をきちんと詫びる凪チャンもいい子。完全な善人も悪人もいないところがリアルで魅力的だと思います。